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「昔の私はホントに硬かった」 体と顔と心の変化のあれこれ

時々、雑誌の取材や自分のインスタにストレッチしている写真が載ったり投稿したりすることがあるせいか、「藤原さんは元々、体が柔らかい」と思い込んでいる人が多いよう。その都度、「いやいや、子供の頃から本当に硬かったんです〜」と言っても、あまり信じてもらえず、「いや!絶対に生まれつき柔らかいはず!」と断言されてしまったことも(苦笑)。

硬く、歪んでしまった理由

本当に子供の頃から硬かったのだけど、その理由は階段から滑り落ちて右の首の付け根をぶつけたから。それ以来、肩凝りがするようになり、そして徐々に体全身が硬くなっていって、小学生の頃には肩凝りがする子供になっていたし、「私は体が硬い人」という自分自身に対するイメージが出来上がっていました。

そして大人になってヘアメイクアップアーティストの仕事に就いてからは、さらに悪化。上半身と首を左側に思いっきり捻って曲げて、頭もさらに倒して左上に捻る。このように左側に全体重がかかってしまうバランスをとるために、グイッと左腕を上げて筋肉を固めて手をモデルの頭に軽く乗せる。

このような姿勢で一日中メイクをしていたので上半身や首、肩、骨盤、膝、足首が見事に(!)歪んだ体型が出来上がってしまったと言うわけです。

その歪みっぷりは、どの治療院でも驚かれるほどだったし(台湾でマッサージを受けた時は、施術者の皆さんが集まってきて私の背中を見ながら何か叫んでいました)、ある著明なスポーツトレーナーの方と対談した時には、私をひと目見るなり「僕だったら、藤原さんは担当したくないなぁ。あまりにも全身が絶妙に歪んでいるから直すのが凄く大変だし、時間がかかりすぎる」と言われたほど。
もちろん、それは愛ある言葉で、その後、「こうした方が良いですよ」といろいろなアドバイスをいただきました(感謝)。

つい泣いてしまった出来事

そうした体の影響はもちろん顔や肌にも表れていました。硬く縮んだ左の鎖骨部分の筋肉に引っ張られて左の口角は引きつられて下がっていたし、首も肩もガチガチだから顔に血流やリンパがスムーズに流れるはずもなく、肌は乾燥していたし、今から思うと浮腫んでもいた。そして何が一番辛かったかと言うと、気持ちが辛かったこと。

「このままではマズイことになるかも・・・!」と一発奮起して行った、ある治療院で施術を受けた時のこと。先生の手が背中に触れた瞬間、ワァーッと泣き出した自分がいました。何かが心のツボに刺さったのでしょう。

私が泣きやむのを待ってから、その先生は優しく「藤原さん、人生は‘う・た・し’ですよ」と言ってくださいました。人生は嬉しい、楽しい、幸せになるためにあると。それなのに私は「嬉しくもないし、楽しくもないし、幸せでもない!」と、まるで駄々をこねる子供のように泣き叫んだのです。

実際、何か辛いことや悲しいことがあったわけではなく、ただただ体が辛かった。それがいつの間にか心も硬くしていたのでしょう。

つい「幸せではない!」と咄嗟に口から出た言葉で、私はやっと今の自分の状況を知ることができたのです。
体の辛さは目に見えるし、簡単に感じることはできる。けれども心の辛さはその中にいると案外、気がつかないものかもしれません。

それからいろいろな治療院で施術を受けて2年後の、42歳のある日。
「そうだ!自分でもストレッチとかしてみようかな・・・」と言う考えが浮かびました。硬さが軽減されてきて、気持ちに余裕が出てきたからなのでしょう。

あまりにもひどい時、人は自分でしようとは思い付かないのかもしれませんね。そんな時はプロの手に委ねるのが一番!

ストレッチ初日の出来事

さて、こうして始めたストレッチの初日。開脚してみたものの、冗談抜きに35度ぐらいしか開かなかったし、前にも倒れることはできず、両手だけ「うーん、うーん」と言いながら前に突き出すのがやっと。

それでも2時間ぐらい(!)、その格好のままでいたら「ふっ」と体が緩む瞬間が訪れたのです!そして、その緩みと共に体が1ミリ前に倒れた。この時、体が緩むと言う感覚を初めて体験したように思います。「緩むって、こう言うこと?」と、何だかとても不思議な感じがした瞬間を今でも覚えています。そして体が緩むのと気持ちが緩む瞬間がほとんど同時だったことも。

この事件(私にしてみれば大事件!)以来、毎晩毎晩、どんなに仕事で遅く帰ってきた夜でも、どんなに疲れていても開脚を続けました。なにせ「今日やらなかったら、また元の硬さに戻ってしまうかもしれない」と言う恐怖心と、「戻ってしまっては、もったいない」と思っていましたから。そんな気持ちが‘毎晩、2時間開脚’を遂行させたのです。

ストレッチを始めてからの体と顔と心の変化

このようにしてマイナス100ぐらいから始まったレベルの開脚も、今は170度広げられてオデコも胸も床につくようになりました。片足立ちも170度ぐらいまで上げられるようになりました。この途中で起きた私の変化をまとめると次のようなことです。

・ガチガチに固まっていた背中がほぐれてきたら、上半身の厚みが薄くなってきた
・ウエストにくびれができてきた
・肌に艶感が出てきた
・顔のむくみが軽減してきた
・眠そうだと言われていた目がパッチリとしてきた
・気持ちが軽くなってきた
・神経質だった性格が、おおらかになってきた(と思う)
・「まっ、何とかなるかぁ」と鷹揚な見方ができるようになってきた
・etc

と言う感じでしょうか。
若い頃は今よりも痩せていたけれど、その割には上半身は固太りしていたし、ウエストはくびれていなかった。それに丸顔だと思っていたけれど、首や肩を縮めていて血流やリンパの流れが悪かったので、むくみによる‘ポッチャリさん’だったのかも。

人は自分で変えられる!

このように「体と顔」は密接に繋がっているし、上記のようなことを体験したことから「体と心」も密接に繋がっていると言うことを知ることができました。それ以来、私の「美容と健康と心の基本のキは体を緩めること」と言うのが自論となったのです。そして人は変われる、と言うことも。

子供の頃から自分自身に持っていた「私は硬い」と言う概念は、今は薄らぎました。それもこれも自分で言うのも何ですが、諦めずにやり続けてきたから。と言うか、その途中の自分の変化に驚きと嬉しさと楽しさを感じることができたことが、続けられている要因なのだと思います(今でも自分の変化を楽しんでいます)。

人は自分で自分を変えられる。私はそのように思います。そのためには諦めずに続けること。
そして続けるために大事なことは、人と比べないこと。
また、その先には自分が思ってもいなかった自分が待っている。
そのことを灯台の光にして続けること。
そのためには「0.01ミリの変化」を繊細に感じること。

それが嬉しい、楽しい、幸せの「人生のう・た・し」に繋がる。今、私は素直にそのように思えるようになりました。