大人になるほどファッションは生き方とリンクしていく。だからこそ!

woman wearing pink dress standing on shore
woman wearing pink dress standing on shore

写真のMOOKは扶桑社から10月29日に発売された「これからの私が似合う服」。誌面で登場するのはイメージキャラクターを担当するモデルの高橋喜代美さん、女優であり刺繍作家の神津はずきさん以外は、私も含め一般の大人の女性たち。スタイリストの大貫まりこさんやchizuさん、ディレクターの高山泰子さん、ガーデンデザイナーの吉谷桂子さん、アーティスト/イラストレーターの松尾たいこさん、バッグ作家の江面旨美さん、布作家の山中とみこさん、ファッションブロガーの棗久野さん。

こうした大人の女性たちがいつもの私服を着て自分のファッション観と共に、数点ずつファッションを紹介しているのですが、どなたもその人らしさと装いがマッチしている。そしてご自分の内面や生き方に添った装いをしているのが、誌面をパッと見ただけでも感じることができました。

ファッションと年代はリンクしている

ファッションとその人が深く関わっているのは、もちろん大人だけではありません。例えば20代の頃は、まだ自分らしさも生き方も模索している最中なので、それを代弁してくれるための‘流行’に傾きがち。だから殆どの人が似たような印象のファッション(メイクも)になっていたり、または「私は個性的なの!」と肩に力が入っているので、その人らしさよりも格好だけが目立っていたり(当時の私も同じような感じでした!)。

それが自分らしさと生きる方向がわかり始めてくる27歳頃から徐々に、流行が60%、自分らしさが40%と流行の占める割合が減っていき、その比率が逆転するのは42歳ごろ。また40代というのは、花開き始めた自分らしさと若さが一番リンクしていて、いろいろな意味で自由を謳歌できる年代。自分も含め多くの女性たちと接してきて、そのように実感しています。

大人になるほど、ファッションはその人らしさの方が目立っていく

そして、このMOOKに登場されている50代、60代の方々の装いを見ると、自分らしさが90%、流行が10%という感じ。と言うよりも、’流行アイテムに自分の好きなものがあったら取り入れる’というようなスタンスを感じるし、そうした余裕を感じます。でも例え、流行100%の装いをしたとしても服が目立つのではなく、‘その人らしさ’の方が目立つだろうということも、または皆さんが同じ服を着たとしても全然、違う印象になるだろうと言うことも簡単に想像できます。年齢を重ねるにつれ、その人らしさと言うのは服を通して透けて表れていくものですから。

縛っていたのは自分たち?

ところで数年前までは「この年代なら、こんな装い」とか「ママなら、こんな格好」と言う暗黙の了解のようなものが世間にはありました。または年齢よりも若い格好(世間で使う言葉)をすると「年甲斐もない」と眉間にシワを寄せる人もいたと思います(今もいらっしゃいますが)。
でも世間ではなく、装いに対する大人の女性たち自身がハッキリ変化したと私が認識している時期があります。それは2011年3月の東北地方の地震後。それまでは高級ブランドのスーツとパンプス、バッグという装いで銀座を歩いていたと思われる多くの大人の女性たちが、スニーカーにカジュアルなパンツという装いに変わったのを私は目にしましたた。直後は余震が頻繁に続いていたので何が起きても良いようにと、皆いっせいにカジュアルな装いにチェンジしたのです。

でも、それが大人の女性たち自身の‘自由な装い’への引き金となった。私はそのように感じています。具体的には、それ以降‘大人カジュアル’な格好は定着したし、若いブランドを扱っているセレクトショップにも大人の女性たちが足を運ぶようになった。そして「自由な大人」が増えていった。専門家の分析はいろいろあると思いますが、私が目で見て肌で感じたのはこんなこと。この流れを見ると、それまでは世間の常識や時代に縛られていたと言うだけでなく、自分たち自身でも窮屈にしていたのかもしれません。

そして今、「多様性」ということが頻繁に叫ばれていますが、それは‘年齢’という数字にも当てはまるのではないかと思っています。年齢を重ねるほど内面や生き方が外側に表れていくものだけれど、大人の女性たちの心の自由度が増している今、さらに年齢と見た目年齢は一様ではなくなっていっているからです。また皆んなの意識がこのように変わりつつあることを、身近なファッションの流れからも感じています。

自分の‘らしさ’を楽しむために気をつけていること

ところで私自身の普段の格好はカジュアルで、フェミニンとマニッシュのミックスと言う感じが好きなのですが、これはややもすると「若作り」に見える(!)可能性が大。でも、そんな格好が好きだし自分らしいと思っているし、落ち着く。だから、そんな装いに合うマインドや外見に整えるということも十二分に大人となった今、大事だなと感じています。例えば、格好は若々しいのに「もう私は歳だから」というマインドや丸くなっている姿勢は合わないし、手入れしていない肌や髪でカジュアルな格好をすると逆に老けた印象になる。

上記に書いているように、40代が自分らしさと若さが一番リンクしている年代だとしたら、50代からはまた違う「これからの自分」と向き合っていく始まりの年代なんだなと、その真っ只中にいる私は実感しています。大人になる程、ファッションと自分はリンクしていくもの。だとしたら素敵に無理なくリンクさせたい。そして、そのためにも自分なりの努力を楽しみながらしていきたい。そんな風に思っている今日この頃です。